日経一面で安定度が高いとされたファンドがちょっと気になりまして

今朝の日本経済新聞の一面の見出し投信、長期にシフト 人生100年時代を下支え :日本経済新聞で長期安定で金融機関がお勧めしているファンドの典型例としてアセットマネジメントone運用のMHAM新興成長株オープンがあった。2000年からスタートしたファンドで昨年度は560億円を集めたという。ちょっと気になって運用報告書等をのぞいてみた。

 

・長期投資というけれどそもそも信託期間はいつまでだろう。

信託期間は運用報告書の中の深いところにあった。ページをめくりめくって当ファンドの概要のページ。無期限か。約款をみたらファンドが一定の口数以下になった場合、受益者から異議申し立て次第では、ファンドが償還もあるようだ。ちなみに償還日が決まっていても償還の延長もあるようだ。あまり無期限と書いても意味ないな。

ところで、信託期間は、書く場所は決まっているのかもしれないけど重要な情報なんだから一番前にも書いてほしいとせっかちな私は思った(他社もそうなのかもしれないけど。)

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・分配金が良かったところが売れたポイントだったのでは。

分配金と資金流入の関係は?最初のページに分配金が500円と書いてあった。そうか。分配金もまたセールスポイントの一つかもしれない。リスクを抑えながら安定した収益を上げているを説明されても難しいけど分配金がいくら出てましたのほうがお客さんの心に訴えやすいかな。

それを確認してみよう。同じく運用報告書で5年間の推移というグラフがあった。2016年の決算から毎年2018年までの3年間各1000円を出している。これに引かれて買ったお客さんも少なからずいたのではと思った。純資産も増えている。昨年度の純資産の増え方は日経に積極販売と書いてあったのでその賜物だろう。それはそれとしてグラフをみるとこの期間は分配しなかった方が良かったようだ。

そして今期の決算はいつもの半分の500円。買ったときの思いはお客さんそれぞれだろうけど、この配当金を見てどんな気持ちだろうか。相場も崩れていて売れない人も少なからずいるのではと思った。お客さんにとって成功体験の真逆になりませんように。まあ、長期投資で買った人は分配金が半分になってもこれからさ気分で気にしないかもしれないけど。

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・あれ、パフォーマンスの勢いが鈍っているようだけど

資金がたくさん入って、新興成長株と言う位だから中小型株中心のファンドなのだろうけど、運用も大変なのではとちょっとだけ気になった。今決算のベンチマークと分配金再投資なんちゃらの騰落率の差が過去5年間で桁が一つ違う。今期のベンチマークとの比較をみた。トピックスを参考指数としないでベンチマークとしているあたりの潔さは良いと思う。

で、今期のベンチマークとの差の理由は以下の「ベンチマークとの差異について」に書かれた通りだった。ちょっとこれだけだと数字もないし過去の運用報告書と比べてもわからないな。他の運用会社もそんなところなのだろうけどね。ところでベンチマークのトピックスは配当込みではないのだからそこをベンチマークとの差異にプラス要因として書いてほしいなと思う。運用報告書(全体版)と書かれたファイルをみると投資先からの配当金はあったようだし無配株ばかりではないと思う。

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運用報告書の後ろにあるベンチマークの説明で一回り小さな文字で書かれている「※ベンチマークは配当を除いた指数です。」これを差異にプラス要因で書いてほしかった。

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・過去の分配金と純資産の関係

もっと前からの分配金が気になったのでマンスリーリポートで確認した。このマンスリーリポートはみやすくて気に入ったぞ。過去の分配金と純資産の増減をみるとスタートは200億円を超えていたようだけどその後無配の時期は低迷していた。やっぱり、長期投資云々を信じる者は救われるの世界よりは現金な(失礼)お客さんは分配金次第なのかもしれない。

 

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一般に小型株投資ってリスクがあると言われている。それ考えると新興成長株に投資をするとしているこのファンドを長期投資のど真ん中に私だったらすえることはしない。直近の決算見てもブレ始めているように感じる。それから、大量資金が入ったタイミングで買ったお客さん戻ったときに解約する人もいくらかはいらっしゃるかもしれないなと思う。その辺のパフォーマンスもちょっと気になっている。

あと投資家との接点となる運用報告書なので分配金が半分になった背景やパフォーマンスに陰りが見えた背景を紋切り型ではなくある程度説明して欲しいと思う。

リスクを抑えながら安定した収益を上げた典型ファンドと日経も書いているし乞うご期待。それほど意味のない記事のようにも思えたけど。お粗末様でした。(おしまい)

#日本経済新聞投資信託 #アクティブ運用 #ベンチマーク #長期投資 #人生100年 #運用報告書

 

 

 

ファンドの運用報告書等は以下でも確認できます。ご参考までに。

http://www.am-one.co.jp/fund/summary/370030/